確定拠出年金の運用について書き始めてみると、記録に残しておきたいと思う過去の出来事を次から次へと思い出し、残していた資料で記憶を点検しながら、とうとう「その4」を投稿することになりました。今回は、オリジナルプランから移行したSBI証券iDeCoセレクトプランの運用について綴っていきたいと思います。

 SBI証券iDeCoセレクトプランは、38種類の商品がありますが、eMAXIS Slimシリーズを筆頭に比較的手数料の安い商品で構成されており、商品の一部はオリジナルプランから移行した商品や、オリジナルプランと共通の商品で用意されていました。
 資産の運用規模がある程度大きくなったことから、運用方針としては、世界中に幅広く分散し、性質の異なる商品を組み合わせることで、リスクを軽減することとしました。

 最初に選択した商品は、全部で7種類あり、2019年6月から時間をかけて少しずつ定期預金からそれぞれの商品へスイッチングしていきました。具体的な商品名は、株式カテゴリーから「<購入・換金手数料なし>ニッセイ日経平均インデックスファンド」、「<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド」、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」および「eMAXIS Slim 新興国株式インデックス」の4種類、債券カテゴリーから「eMAXIS Slim 国内債券インデックス」および「eMAXIS Slim 先進国債券インデックス」の2種類、リートカテゴリーから「三井住友・DC外国リートインデックスファンド」の1種類です。

 ここで大切なのは、これらの商品をそれぞれどのくらいの割合で購入するかという資産配分(アセット・アロケーション)です。これについては、退職金の一部を運用していたロボアドバイザー「ウェルスナビ」の運用を参考にしました。
 ウェルスナビでは、米国株、日欧株、新興国株、債券、金、不動産というアセットを対象として、各アセットの配分を自動で調整してもらいながら世界中に分散投資が出来ます。積立入金にも対応しており、まさに究極の「ほったらかし投資」と言えるでしょう。主に株式の配分割合を変えることで5段階のリスク許容度(リスク5~リスク1)が用意されており、質問に答える形式で自分の状況をWeb入力すると、おすすめのリスク許容度も提示してくれます。

 こうしてコツコツと週1回のペースで少額ずつ定期預金から7種類の商品へのスイッチングを開始し、途中で商品を追加(「iFree 新興国債券インデックス」)してみたりもしましたが、長期にわたって地道なスイッチングを継続していたところ、2020年2月、金融市場に世界的な大事件が発生しました。皆さんのご記憶にあるコロナショック、つまり株式の世界大暴落です。
 その時点で、私のiDeCo口座には定期預金がまだ資産全体の30%程度残っていましたが、2月下旬から資産残高がみるみるうちに減少し、3月下旬には損益率が最悪の▲13%に達してしまい、ビビりまくっていました。

 一方、恐怖に慄く状況の中で、私は企業型DCでのリーマンショックの経験を思い出し、もしかしたらこの機会に定期預金から株式型の商品へのスイッチング額を増やせば、後々運用成績が向上するのではないかと考えました。恐る恐るではありましたが、3月初旬からS&P500や外国株式インデックスへのスイッチング額を通常の5倍程度に増加させてみました。
 しかし、3月下旬になると今度は資産額が徐々に回復を始めたので、スイッチング額は以前のペースに戻しました。最終的に損益率がプラスに転じたのは5月末になってからでした。

 後から思えば、コロナショックの暴落の最中に、残っていた定期預金の全額をS&P500や外国株式インデックスへスイッチングしておけば、もっと運用成績が向上していたのではないかということになりますが、コロナショックからの回復はリーマンショックに比べて格段に早かったことなどもあり、私にはそこまでの対応は出来ませんでした。
 しかし、コロナショック発生時にまだ定期預金のスイッチングが完了しておらず、全体の30%程度が定期預金として残っていたのは幸運だったと思っています。

 iDeCoは、こうした紆余曲折を経て、現在も運用を継続しています。また、2022年5月から、またもやiDeCoに関する法律改正があり、掛金の拠出が従来の60才未満までから65才未満までに延長されたため、60歳の誕生日が過ぎた現在も半年毎に掛金を拠出しています。
 また、現在のポートフォリオは、ウェルスナビ(米国ETFで運用)の商品構成により近づけていくため、「三菱UFJ純金ファンド」を追加し、国内債券と新興国債券を無くしています。

 2023年の株式市場が好調であることに加え、円安の影響もあることなどから、現時点では全体として株式型の商品への配分割合が80%程度にまで高まっており、年齢の割にリスクの高いポートフォリオになっていると認識しています。
 今後は計画的に株式型から債券型の商品へのスイッチングを行って、老齢年金として受給開始を予定している65才になるまでに、株式型の商品の配分割合を縮小していきたいと考えています。

 

著者

還暦おじさん

サラリーマンとして55歳の誕生日を迎えた2018年に関連団体に転籍し、今年(2023年)還暦を迎えました。転籍退職金などを元手にネットで情報収集しながら資産を楽しく運用しています。

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