2つの銀行に預けていた退職金専用定期預金のうち、預入期間が3カ月の商品の満期金は、米国株(個別株とETF)への投資による運用を始めたわけですが、もう一方の預入期間が6カ月の商品の満期金については、手間をかけず自動で運用したいと考え、2018年当時SBI証券から「ロボアドバイザー」のサービスとして提供されていた「WealthNavi for SBI証券」に投資してみることにしました。

 「WealthNavi for SBI証券」は、現在TVのCMでもよく見かける「ウェルスナビ」が当時SBI証券のユーザー向けに提供していた商品であり、長期契約の手数料割引がないことや一部のキャンペーンに参加できないことを除けば、本家のサービスと内容は同じものでした。ただし、現在はこのSBI証券向けのサービスは廃止されていますので、以下では、「WealthNavi for SBI証券」のことを「ウェルスナビ」と呼ばせていただきます。

 ウェルスナビでは、6または7種類の米国ETFを組み合わせることにより、米国株(VTI)、日欧株(VEA)、新興国株(VWO)、債券(AGG、TIP)、金(GLD)、不動産(IYR)というアセットを対象として、各アセット(ETF)の配分を自動で調整し、世界中に分散投資が出来るようになっていました。

 お恥ずかしい話ですが、運用開始当初はVTI、VEAなどの記号(「ティッカー」と呼ばれ、日本株の4桁の証券コードに相当するものです。)の意味がわからなかったため、この記号は一体何をあらわしているのかを調べてみました。
 その時初めて、米国個別株にあわせて投資していたバンガードS&P500ETF(VOO)とバンガード米国高配当株式ETF(VYM)以外にも米国には様々なETFがあることを勉強しました。そもそもティッカー先頭のVの文字はETFを販売しているバンガード社(Vanguard)の頭文字だということにも気が付きました。

 ウェルスナビには、各ETFの配分割合を変えることで5段階のリスク許容度が用意されており、運用開始前に質問に答える形式で自分の状況をWeb入力すると、おすすめのリスク許容度が提示されます。提示された内容どおりのリスク許容度を選択しなければらならいわけではありませんし、リスク許容度は運用途中で変更ができるため、私は最も積極的に運用するリスク許容度5でスタートしてみることにしました。

 ウェルスナビの口座開設手続き完了後、退職金専用定期預金の満期金を時期をずらして数回に分けて入金しました。ウェルスナビの口座に入金すると、選択したリスク許容度に応じた配分割合で自動的にETFの買い付けが行われます。リスク許容度5では株式型ETF(VTI、VEA、VWO)の配分割合が比較的高く、購入した資産の82%程度になっていました。その他に、AGG、GLD、IYRも購入されていました。
 また、都度入金のほかに毎月の定額積立入金に対応(指定した銀行口座からの引き落とし)していたため、少額ずつ積み立ててみることにしました。

 こうしてウェルスナビによる資産運用を開始したわけですが、当然ながらETFの価格は株価と同じく日々変わっていきますので、当初設定されたETFの配分割合が変わっていくことが起こります。一定程度ずれが大きくなった場合には、自動的に、所定の配分割合を超えて資産額が大きくなったETFを売却し、同時に所定の配分割合より資産額が小さくなったETFが購入されます。この機能は「自動リバランス(臨時リバランス)」と呼ばれています。

 また、相場の状況によっては、特定のETFの価格が下落し評価損が生じることもありました。この評価損が一定程度拡大したETFについては、自動的に同じ日に売却(損出し)と購入を行い、ETFの購入価格を下げるとともに、この譲渡損を自動リバランスにより生じた譲渡益と口座(特定口座)内で損益通算し、税金を少なく(節税)してくれます。この機能は「DeTAX」と呼ばれています。

 このように究極の「ほったらかし投資」と言えるウェルスナビですが、私の口座でも、詳しい記録は残していませんが、コロナショックの一時期を除けば、着実に資産額が投資額を上回っていったと記憶しています。

 ウェルスナビでは、自動リバランスやDeTAXというロボアドバイザーならではの素晴らしい機能が提供されており、2024年からの新NISAにも対応しているようですので、これから投資を始めようとする人や投資に手間をかけたくない人にはおすすめの投資先だと考えます。

 投資には全く無関心で、昔からゆうちょ銀行の定額貯金(昔とは異なり長らく超低金利が定着)にへそくりをコツコツ預け入れていた妻にもウェルスナビの利用を勧めてみました。妻はあまり乗り気ではありませんでしたが、私が口座開設手続きを手伝って何とか利用を開始し、定額貯金の満期の都度少額をコツコツ入金していきました。
 途中でコロナショックによる資産額の大きな減少があり気持ちが動揺することもあったようですが、現在では円安の効果もありかなりの運用益が出ていることから、満足しているようです。

 ところで、ウェルスナビの手数料のしくみですが、一般的な証券会社のようにETFが売買される都度手数料が徴収されるのではなく、預かり資産の年率最大1%(税別)に相当する額が資産残高に応じて毎月徴収されます。そのため常に資産の一定額はETFを購入せず現金のままとなっています。

 この1%の手数料をどう受け止めるかですが、資産運用の経験をある程度積んだ人の中には、「ウェルスナビによる資産運用は、サービスを利用してみて、優れていることがよく理解できた。しかし、もし同じような資産運用が自分で出来れば、年間1%もの手数料は払わなくてよいのではないか。」と考える人も出てくるのではないでしょうか。

 実を言いますと、私がその一人であり、ウェルスナビには大変お世話になったのですが、ある時期にウェルスナビの資産を全額出金(日本円)して、SBI証券の外国株式取引口座(特定口座)で米国ETFを購入し自分で運用してみることにしました。

著者

還暦おじさん

サラリーマンとして55歳の誕生日を迎えた2018年に関連団体に転籍し、今年(2023年)還暦を迎えました。転籍退職金などを元手にネットで情報収集しながら資産を楽しく運用しています。

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