SBI証券iDeCoでは、老齢給付金を老齢年金として受給する場合、資産を残りの給付回数で除して算出した数量が現金化され、源泉徴収されたうえで、指定した金融機関口座へ給付金が振り込まれます。資産額は運用商品の価格に連動して変動しますし、少額ですが老齢年金の受給期間が終了するまで運用手数料(66円/月)や振込手数料(440円/回)もかかります。このため、毎年受給する老齢年金は定額ではありません。
例えば、老齢年金を10年間、年間給付回数2回の条件で受給する場合、受給回数の合計は20回になり、1回目の受給額は資産額 × 1/20、2回目の受給額は残り資産額 × 1/19、3回目の受給額は残り資産額 × 1/18と、受給の都度残り資産額に対する受給割合が増加していき、最後の20回目は残り資産額の全額を受給します。
さて、iDeCoの受給方法について考察してきましたが、まだ悩ましい問題が残っています。それは、最大10年間の年金受給期間中に、運用商品の価格変動に伴い資産残額は変動するため、毎年の老齢年金受給額、国民健康保険料、そして源泉徴収税額も変動し、最適解と考えていた受給方法が、結果として必ずしも最適解とならないおそれがあるということです。
残り資産のうち仮に株式型の商品の割合が相対的に高い場合、相場状況によっては年金受給期間中に資産の運用益(非課税)が得られ、年金受給額が増加することが期待できますが、逆に〇〇ショックのような株価大暴落が発生し、資産額が大きく減少することも考えられます。また、法改正により税制が変わる可能性もありますが、こちらは全く対処のしようがありません。
資産額の変動があるとしても、一般的に運用期間が20年以上あるような場合は相場の影響を受けにくいと考えられますが、年金受給期間(運用期間)は最大10年ですので、株式型の商品を抱えたままでは資産の価額変動リスクを回避することは困難です。
こうしたことから、年金受給開始までに資産の中で株式型の商品の割合を低下させ、資産の価額変動リスクを低減しておくことは、単に高齢になりリスク耐性が低くなっているからという理由だけではなく、iDeCoの老齢給付金を有利に受給するための方策として必要という結論に至りました。
極端なケースとしては、年金受給開始までに資産をすべて定期預金にスイッチングしておけば、その後は運用益や運用損の心配はなくなり、1年間の年金受給額をほぼ変動させないようにすることができます。
結論として、iDeCoの老齢給付金は受給方法がバラエティーに富んでおり、上手く節税するためには、受給者それぞれの状況(iDeCoの資産額、勤務先からの退職金の受給状況など)に応じて面倒な計算を繰り返さなければならないことがわかりました。
そもそもこうしたことは税理士の方などに相談すべきものと考えますが、門外漢の私の考察が少しでも皆さんの参考になれば幸いです。