iDeCoは、自分が拠出した掛金を、自分で運用し、資産を形成する年金制度です。掛金は65歳になるまで拠出可能であり、60歳以降に老齢給付金を受け取ることができます。そもそも年金制度であるため税制優遇があり、「iDeCo公式サイト」では、 iDeCoの税制メリットとして、「1.掛金が全額所得控除」、「2.運用益も非課税で再投資」、「3.受け取る時も大きな控除」の3つが説明されています。
こうした税制メリットのあるiDeCoですが、NISAのように手数料が不要(一部証券会社で特定の商品を購入する場合。ただし投資信託の信託報酬は除く。)というわけではありません。手数料について、iDeCo公式サイトでは説明されていませんが、iDeCoを上手に利用するためにはその仕組みをよく理解しておく必要があります。
iDeCoの手数料は、iDeCoの制度維持に必要な手数料と、iDeCo口座を開設した金融機関の手数料に大別されます。前者は、iDeCo実施機関である国民年金基金連合会が徴収する手数料と、iDeCo資産を管理する信託銀行が徴収する手数料であり、どの金融機関にiDeCo口座を開設しても金額は変わりません。後者は、金融機関(運営管理機関)が加入者の運用指図(購入する運用商品の決定やスイッチングなど)の取りまとめや、インターネットやコールセンターを通じた加入者へのさまざまなサポートを実施するための手数料であり、こちらは口座を開設する金融機関によって金額が異なります。
したがって、新たにiDeCoを始める(iDeCoに加入する)にあたっては、まず運営管理機関として徴収する手数料が安い金融機関を選ぶことが得策になりますが、インターネット証券などでは無料のところが多いようです。
加入(移換を含む)に際しては、いずれの運営管理機関を選択したとしても、国民年金基金連合会が事務手数料として2,829円(税込、以下同じ)を徴収します。
iDeCoに加入すると専用口座が作られますが、同時に「口座管理手数料」の徴収が始まります。口座管理手数料は、「事務手数料」、「資産管理手数料」および「運営管理手数料」で構成されます。
このうち、事務手数料は、国民年金基金連合会が加入者が拠出した掛金から控除する方法で徴収され、掛金拠出1回あたり105円です。したがって、掛金を毎月拠出する場合は年1,260円(= 105円 × 12回)が徴収されますが、掛金を拠出する月のみ事務手数料が徴収されるため、半年分や1年分の一括拠出にすると、事務手数料はそれぞれ年210円(= 105円 × 2回)、年105円になり、手数料を節約することができます。
資産管理手数料は、iDeCoの資産を管理する信託銀行に支払う手数料であり、月66円が徴収されますが、こちらは年792円(= 66円 × 12カ月)の固定額です。
運営管理手数料は、私がiDeCo口座を開設しているSBI証券の場合は無料です。
口座管理手数料は、毎月各運用商品(投資信託および定期預金)についてその資産残高に応じて必要な手数料分を自動的に解約することによって、徴収されます。したがって、運用商品を追加購入しない限り、運用商品の残高数量(口数)は毎月少しずつ減少していくことになります。私がiDeCoを始めた頃は、この仕組みを理解していなかったため、わずかな金額ではあったものの運用商品が毎月勝手に解約されていくので、焦りました。
iDeCoの運用商品は、定期預金を除きすべて投資信託なので、そもそも投資信託としての信託報酬が費用として運用会社に徴収されていますが、この費用は運用商品の中で賄われているため、表に出てきません。しかし、投資信託の運用成績に影響しますので、できるだけ信託報酬率の低い運用商品を選択することが賢明です。このため、一般的には、信託報酬率が比較的高いアクティブ型ではなく、インデックス型のファンドを選択することになります。このことは、NISAにもあてはまります。
さて、先の話ですが、老齢給付金の受取方法は、一時金(一括受取)、年金(分割受取)および併給(一時金と年金の併用)の中から選ぶことができます。また、iDeCoを受給する際には、給付一回につき440円の「給付事務手数料」が給付金から徴収されます。
私は併給を選択し、最初に資産残高の一部を一時金として受給し、以後10年間年金として受給することを考えています。年金受給の年間給付回数は1回、2回(半年毎)、4回(四半期毎)、6回(2カ月毎、公的年金と同じ)の中から選択できるようになっているので、給付事務手数料の削減と生活費管理可能期間のバランスを考慮しつつ、年間給付回数をできるだけ少なくしたいと考えています。