以前の勤務先を55歳で退職後、企業型DCの資産と確定給付企業年金の資産をそれぞれiDeCoに移換して運用しつつ、半年毎に掛金を拠出しています。現在の勤務先はおそらく64歳になる年の6月まで勤務することになり、退職時には幾許かの退職金も受領できると聞いていますので、iDeCoの老齢給付金の受給開始は公的年金(老齢基礎(厚生)年金)の受給が可能になる65歳とし、老齢年金として10年間の受給を予定しています。
その理由は、「人生100年時代の年金戦略」(田村正之著、日本経済新聞出版社)の中で、「iDeCoのお得な受給方法を考える」と題し、究極の受給方法として「公的年金を繰り下げて年間の受給額を増額させるとともに、公的年金の受給開始までiDeCoを年金として受給し、公的年金等控除を利用して節税する。」ということが紹介されていたため、これを実行しようと考えたからです。
公的年金は、65歳で受け取らずに66歳以後75歳までの間で繰り下げて増額した年金を受け取ることができます。繰り下げた期間によって年金額が増額され、その増額率は一生変わりません。1カ月繰り下げるごとに0.7%増額されることから、75歳まで、つまり最大10年間(120カ月)繰り下げると84%増額になります。ただし、公的年金を75歳から受給する場合、65歳からの10年間は受給していないため、65歳から受給した時と比べて総受給額が逆転するまでには75歳以降11年程度を要すると言われています。
60歳になるとiDeCoの老齢給付金が受給できるようになるため、SBI証券から私宛に「確定拠出年金 受給資格取得のお知らせ」が届きました。そこには、給付金受取の種類として、一時金/年金/併給(一時金と年金の併用)があること、年金受取の場合、受給期間は5年・10年・15年・20年、年間の給付回数は1回・2回・4回・6回の中からそれぞれ選択できることなどが記載されていました。
また、届いた手紙には、SBIベネフィット・システムズ株式会社(SBI証券iDeCoの記録関連運営管理機関)が作成している「確定拠出年金給付の手引き」(以下「給付の手引き」と呼ぶ)が同封されていました。
年末・年始の休日で時間があったため、改めてこの給付の手引きをじっくり読んでみると、iDeCoの老齢給付金の受給方法には、退職一時金として一括受給する方法や、年金として受給する方法に加え、一部を一時金として受給し、残りを年金として受給する方法(併給)があり、この併給を上手く活用すれば、iDeCoの老齢給付金の受給に伴う所得税額を最小化できる可能性があることに気が付きました。
一般的には、iDeCoの老齢給付金は一時金として受領し、退職所得として扱うことが、給付金にかかる税金を最も少なく出来る方法として勧められていますが、私のように2つの勤務先から退職金を受領(予定を含む)し、それぞれ退職所得控除の枠を使う場合は、そうとも限りません。